第10章 雪から生まれた想い
兄さんの魂が泉に入り数ヶ月…
俺は毎日ここに来て様子を伺っていた
兄さん…頼むから人間にならないで…
そう思っていたその時…
<ゴポッ…>
泉から気泡がたち、水面が動いていた
…まさか…
それから暫くして…
<ザバッ…>
兄さんが泉から姿を現した…
人間に生まれ変わって…
…やっぱり…人間に…
なら俺の手で兄さんの魂を…
そう思い側に近付こうとしたけど、俺の足はその場から動かず、立ち尽くしていた
何で…何で動かないんだ…
そうしてるうちに、俺に気付く事なく兄さんは泉から離れ、そして姿が見えなくなった…
潤「兄…さん…」
…動かなかったんじゃない…動けなかったんだ…
数ヶ月ぶりに見た兄さん…例え人間になっても変わらない…
俺にとってはたった1人の肉親だったんだ…
そんな兄さんに手をかけるなんて…俺には出来ない…
潤「うっ…兄…さん…兄さーーーんっ!」
俺の声は兄さんに届く事はなかった…