第9章 雪に消えた想い
俺はその男の顔をボー…っと見つめていた
ー綺麗な顔だな…ー
そして、その男の格好を見ると真っ白な着物を着ているだけだった
智「…君…その格好で寒くないの…?」
「…え?」
俺が声をかけると、驚いたのか手がビクッとはねた
智「手も冷たいし…一緒に毛布に入りなよ。二人なら暖かいし…」
「あ…いや…俺は…」
何故かシドロモドロし出したその男の腕を掴んで毛布の中に入れて抱き締めた
智「ほら…暖かいでしょ?」
俺がそう言うと
「…うん…そうだね…」
そう言って俺の腕の中で踞った
智「君は地元の人?」
「…まぁ…そうかな。君は?」
智「俺は仕事場の同僚とスキーに来てたんだけど、スキー場から滑り落ちちゃって…」
ダメだ…何か眠くなってきた…
「…名前…何て言うの?」
智「…智…君は?」
「…翔」
智「翔…か…良い名前だね…」
そこで俺の意識は途絶えた