第1章 わたしだって、ヒーローに。
某公立高校ヒーロー科。
雄英高校ヒーロー科の入試に落ちたわたしは今年の春からここの生徒である。
UAの普通科に行っても良かったのだが、ヒーローを志すことができるのであれば場は問わなかった。
UA程の名門校ではないが、それでもわたしは入学して約一か月、順調にヒーローへの道を歩んでいた。
「…はず、だったんだけどなあ……。」
評価Cと書かれた用紙とにらめっこしながら帰路につく。
先日行われた個性テストの結果だ。
わたしはどうも戦闘が苦手…というか、咄嗟の判断というものが苦手で、戦闘訓練の結果はいつもこうだ。
「これだもん、雄英に入れなかったわけですよね…」
はあ、とため息交じりの苦笑をこぼす。
個性自体は決して弱いわけではない。
むしろ希少な個性ではあるのだが、その分デリケートな部分も多く、少しの動揺、体の不調で発動不能となってしまう。
「……わたし、こんなんで本当に、」
ヒーローに、なれるのかな。
そう言葉を発する前に、すさまじい爆音と悲鳴が耳をつんざく。
「…ッな、何…!?」
音の元は目の前の廃墟ビルだ。
ヴィランだろうか?ただのチンピラにしては行為が派手すぎる。
無意識にヒーローに助けを求めようと周りを見渡すと、泣き崩れた女性に目が行った。
「ど、どうかしたんですか?早く離れないと、いつ崩れるかわからな…」
「む、娘が…ッ、5歳の娘が人質に…!誰か!誰か助けて…!」
悲痛に泣きじゃくる女性を目の前に、胸が締め付けられる。
はやく、だれか助けてあげて
誰か