第3章 短期合宿
「…うわ、暑い。」
夏休み直前、雄英との合同合宿だというのでわたし達のクラスはかなり意気込んでいた。
エリートたちに自分の個性を見せつけるチャンス、雄英に転入できるかもしれないチャンス。色んなチャンスを狙って、各々合宿に向かってかなり気合を入れてたみたいだ。
…最も、雄英の人たちはわたし達に興味なんかなくて、きっと夏休みに入ってからある雄英だけの林間学校の方が一大イベントなんだろうなあ。
「おい邪魔だどけ!モブ女!!!」
「すっ、すみませ…ッ」
不意に肩を押しのけられる。少しよろめいた程度だけど、何この人怖すぎ。
四方にツンツンと、爆発したような頭。死ぬほど悪い目つき。こんな人でもヒーロー志望なんだなあ…。
「なに見てんだ殺すぞ!!」
「こ、殺ッ…!」
何この人こっわ!この人本当にヒーロー志望なの…!?
急いでその人から目線を外す。雄英って、こんな人ばっかりだったらどうしよう。先行き不安すぎる…。
「おい爆豪!他校の女子だぞもっと優しくしてやれよ…!いやー、ごめんねうちの爆豪が…!怪我無い?」
「は、はあ…」
次に現れたのは黄色い髪に黒い雷模様の入ったいかにもアホそうな…こほん。優しそうな人だった。
「それより君、今回一緒の学校の子だよね?うちの訓練めっちゃ厳しいけど大丈夫!俺が守ってあげるからさ」
「あ、あの…」
ああやっぱり雄英って変な人ばかりだ。
殺意剥き出しの人にナンパ癖の人、轟くんがまともな人に見えてくるくらいだ。
「ちょっと、うちのあかりに何か用?」
「春香…!」
春香。以前わたしにスクープを教えてくれた、この学校に入って初めての友達だ。個性は【春】。春まつわる植物全てを操るすごい個性だ。
「おっ君のお友達?かわいいね!ね、あとで一緒にトランプでも…」
「頭の悪い男はお断りよ、行こ!あかり」
「うっうん…」
春香はわたしの幼馴染でもある。本当は雄英に行けるくらいすごい個性を持ってるのに、わたしが心配だからってわたしの学校まで付いてきてくれたのだ。ヒーロー活動には興味ないって言ってるけど、やっぱりちょっと申し訳ない。
「全く、気をつけなよ?知らない男たちと一つ屋根の下、三日間も過ごすんだから!」
「言い方…」