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【短編集】テニスの王子様

第6章 Secret time【リリアデント・クラウザー】


「その…ね。私、クラウザーくんとこんな風に気軽に一緒にいていいのかな…って」
「何故?理由がいりますか?私は、【名前】と話すのとても楽しいですよ」

優しく微笑んでくれる彼の表情、そして優しい言葉に私は少しだけ嬉しい気持ちになる。
でも…それでも私は自信があまり持てそうになくて曖昧に微笑むことしか出来なかった。
その表情を見てから彼はゆっくりと言葉を紡いでくれる。

「…【名前】は最初、私が具合が悪いと思って声をかけてくれましたね?」
「え?」

彼が静かに話し始める。
そして私を諭すように聞いてくれた言葉に最初は驚いてしまって上手く返事が出来なかったけれども、私は直ぐ我に返ってゆっくりと頷いた。

「そういう優しさ良いと思います。それと…ここの花々を見れば貴女がちゃんと優しいの…わかります。とても優しくて素敵な人ですよ」
「あ、ありがとう」

率直に褒められてしまい、とても照れて頬の熱が上がるのがよくわかる。
彼の性格だからなのだろうか?それとも海外の人は率直に相手の人を褒めるのが日本と違って習慣づいているのだろうか?
どちらにしても、あまり褒められてない私はとても照れてしまった。

そんな私の頬に急にクラウザーくんの手が添えられるから驚いてしまう。
どうかしたのだろうかと彼を見上げれば、クラウザーくんは微笑んでから小さな声で「It is cute.(可愛らしいですね)」と呟く。
その言葉が早口だったのもあって私は何を呟かれたのか理解出来なくて意味を聞き返そうとした…その瞬間だった。
彼が手を添えていない方の頬にソッと口づけをされてしまった。

驚きすぎて彼の唇が離れた頬に手を置いて私は口をパクパクと開けたり閉めたりを繰り返してしまう。
何か言わなければと思う気持ちとは裏腹に、私は何も言えないでいた。
そんな私を見て、クラウザーくんは困り顔で私を見ていた。

「I'm sorry. It was not something to be lightened. in Japan.(すみません。軽々しくすることではありませんでした。日本では。)」

彼が流暢な英語でそう話すから私は何も言い返せなくなってしまう。
sorryという単語はなんとか私でも聞き取ることが出来たから、何かを謝罪しているのだろう。
多分それは先程私の頬にキスをした事をだと思う。
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