第19章 掴めないヤツ
「ずっと好きだったの?
主人公名前ちゃんのこと。」
死んだ魚の目が急に大きくなった。
あんなにポーカーフェイスの二ノが
耳まで真っ赤にして
こっちを見たまま微動だにしない。
な、何なのこれ。
ちょー可愛いんですけど(笑)
「…す、好きですよ?」
それが、何か。とでも言いたそうな口振り。
「…ふふっ、そんな二ノ初めて見た。」
「あーもう、なんでわかったんすか!
顔に出てます!?」
「…いや、全然。
俺、全く気付かなかったもん。
安西と話してたら気付いちゃって。」
「…あ、安西さん…、
やってくれましたね。」
「だから彼女作んないんだ?」
「…いえ、作ろうと思いましたよ。
でもやっぱり彼女作ったところで
何にも変わらないというか…。」
「主人公名前ちゃん、知ってんの?」
「いえ、全く。
潤君とさやちゃんは気づいてますけど。
鈍感すぎて6年も経ちました。」
「ろ、ろくねん!地獄だな。」
俺だったら
6年間、好きな子のそばにいて
何にもないなんて考えられない。