第11章 何もしないという選択
潤君に昼の出来事を話した。
「・・・気になるの?
大野さんと主人公名前。」
「・・まあ、」
少しは。
いや、嘘です。
ホントはかなり気になってます。
だって相手が相手ですもん。
今までの、そこら辺の男じゃないですもん。
主人公名前の大学時代の恋愛事情は全て知ってる。
でも私にとっては相手じゃなかったっていうか。
こんな言い方じゃただの自信過剰に聞こえるけど、そうじゃなくって。同じ男、異性でもテリトリーが違うっていうか。
俺だけの主人公名前の場所があるっていうか。
主人公名前にとって俺だけは特別だって思ってた。
「その場所、取られたくないってこと、か。」
「・・・まあ、そうなんですけど
あの人には取られる可能性があるということです。」
あんな先輩達なんて相手じゃない。
あんな嫌な予感は初めてだった。
「わかってはいたんです、
なんとなく、
こうなるんじゃないかって。」
そう、だから怖かった。
俺にとっては大好きな二人だから。
これから先も
失いたくない二人だから。
どうしていいかわからなくなる。