第7章 誰かと比べて
私の顔を覗きこむ先輩。
珍しく優しい。
「……それは喜ぶべきですか?」
「喜びなさい。予約半年待ちよ?」
「じゃあ…
五年後くらいにお願いします」
いつもならふざける場所なのに
先輩から返事が返ってこない。
いつの間にか
イミのない涙は流れてなかった。
「…あのさ、」
「はい?何でしょう。」
「…………疲れた。
そう、ワタシハツカレタヨー」
…………は、はい?
「うえぇええぇ!?
この私を隣に置いといて、
つ、つ、疲れたあ!?」
「うっさいなあ」
「わかりましたよっ。戻ります、戻ります。」
ふてくされて立ち上がる。
くそう!悔しいぜ!
「違うって、主人公名前」
そう言って立ち上がった私の
腕を引き寄せる。
「うわっ」
さっき立ち上がったはずなのに
いつの間にかまたさっきの位置に
座っている。
「疲れてんだから、
優しくしてよって言ってんの」
そう言って私の肩に頭を乗せる。
「…先輩、難しい」
「んふふ、そおね」
「重いです」
「大野さんには膝貸してたじゃ~ん。
あれ?太ももでしたっけ?」
「あ、あれは…事故です」
「いや、おっさんの計算でしょ」
「え、そうなんですか!?」
んふふっ、といつものように笑った後、
少しして先輩が口を開いた。