第7章 誰かと比べて
ジャー―――――
手を洗いながら目の前にある鏡に写った自分を見る。おニューのワンピースがなんだか幼くみえた。
「…ふぅ」
なんだろう。二日酔いかな。
化粧室を出ると壁にもたれて座っている二宮先輩と目があった。
「…」
無言のまま先輩にゆっくり近づいて同じように座ってみた。
「…何してんすか、先輩。」
「…」
「…寝てるんですか?」
「……パンツ見えますよ。」
バシっ
「いッて!」
「見えないようにしてます。」
「え、今殴る必要ありました?
ないですよね?ないですよね!?」
「下品なんです、先輩は。」
「え、何。パンツのこと?」
バシっ。
「ってえなあ!
あんたがそんなおめかしなんてしてくるからでしょ~!?」
「うるさいなあ!
たまには女の子だってこと思い出したいんですよ!
この小姑!」
「こ、小姑…。ほっんと!可愛くない!」
「先輩だって!」
「主人公名前よりは可愛いわ!」
「は!どこが!
……どうせどうせ可愛くないですよ!
綺麗じゃないし!
24なのに色気もないし!
お子様だし!生意気だし!」
あれ。私何言ってんだろ。
話す度に目の前が滲んでいく。
「……何。どしたの。」
「う~…、すみません。
自分でもわかりますん。」
「すん、てなんやねん。」
「…これ…お、おニューのなんですよ?」
先輩がはいはい、と呆れたように笑う。
「可愛い、可愛い。
あなたそうゆう服は、
デートのために取っておきなさいよ。
こんな居酒屋じゃなくて。」
「…う゛~…
デートなんてしてくれる人、
何年もいないですもん。」
「んふふ、それで泣いてんの?」
「わかりません。」
「ぶはっ、
今度私がデートしてあげるから
泣き止んで、主人公名前ちゃん。」