第6章 素敵な女性
携帯を開く。
「あ。」
「どした?」
目の前に座っている相葉さんが私の携帯を覗く。
「二宮先輩から…10回以上着信きてます…!」
ひいいぃ!
先輩のキレた顔を想像して身震いした。
お、怒られる…!!
「げっ!?主人公あだな!私もきてる!」
「俺も。」
「うわ、ほんとだ!絶対怒ってるって!」
「…ねぇ…」とポツリと呟く相葉さんの声に誰も気づかず、話をどんどん進めていく。
「誰かかけ直して!主人公苗字辞退!」
「あ、あたしも無理!」
「…ねぇ…」
「ここはドS番長じゃね?」
「よしっ、俺がかける。
ドS番長の威厳が消えかかってるし!」
櫻井さんと潤先輩のやり取りに夢中で笑ってしまった私たちに相葉さんがついに大声を上げた。
「…ねえっ!!ってばっ!!」
じっと自分の携帯を見つめている相葉さん。
突然、ただならぬ様子で声をあげた相葉さんにみんなの視線が集まる。
「急にどしたの、相葉くん。」
半笑いの櫻井さんが尋ねる。
すると携帯のディスプレイを私達に見せ
「二ノってば...
俺には一回しかかけてくんなかった~!」
「…………ぷっ」
「ぷはっ」
「あははははははっ!!」
私と友人1あだなはお腹をおさえ、潤先輩はテーブルをたたき、櫻井さんは泣きながら笑った。
「なっ、なんでえ~皆10回以上着歴あんのにぃ~!」
あの櫻井さんが笑いすぎて何言っているかわからない。
「俺が聞きたいよ~。」
立ちながら相葉さんが泣いている。
「あーおもしれぇ!」
そう言いながら潤先輩は涙を指で拭う。
「相葉さんは当てになんないからね。」
長身の相葉さんの後ろから姿は見えないが声がした。