第3章 恒例のメンバー
「あ、主人公名前~」
ちょっと酔っ払っているようないつものゆるい笑顔がそこに居た。
「お、大野さん。酔ってます…?」
私を見て壁に手をつき片足を上げて反対の手で靴を脱いでいる。靴はポテっポテっと玄関に落ちフラフラしながら「酔ってないよ~」と千鳥足で寄ってくる。
あ、こけそう。
私は大野さんを支えられるように少し腰を浮かせた。
案の定、靴下がフローリングで滑ってこける大野さん。
…あーもう
ギリギリセーフで私の膝の上に顔は乗った。が、膝はやられたみたい。
「ふ…ぃ、痛てぇ~…ひ、ざが痛てぇ」
「なんで笑ってるんですか」
大野さんが笑うのでつられて笑ってしまった。
何の反応もなく倒れたままなかなか動かない大野さんに声をかけた。
「大野さん、起きてください。みんな待ってたんですよ、行きますよ」
ポンポンと上司の頭を叩いて立ち上がるようにせかす。
「…ん、疲れた…。ちょっと太もも貸して」
「…」
やっぱり忙しいんだろうなあ、課長って。
名前だけじゃないんだな、なんて私の膝で寝ている頭を見つめながら考えていると
「…太ももだって。なんかエロい」
「…ほら、バカなこと言ってないで行きますよ」
呆れて笑ってしまったではないか。
それでも動き出さない大野さんなんて気にせず、勢いよく立ち上がった。
ゴンっ
「い、ってえええぇ~っ!」
私は叫ぶ大野さんを尻目にリビングへ戻った。