第41章 昔話
エルヴィン「今から107年前王によって統治しやすいように記憶を改ざんされた。それが父の仮説です」
静かに聞いていたピクシスはエルヴィンを見つめた
ピクシス「ほぉ、そんな事でも起きぬ限りはこの壁の中の社会が成立しえんからか」
ピクシスは感心したようにそう言った
エルヴィン「はい。子供の頃からずっと考えていました。なぜ父は真実に近付いただけで死ななければならなかったか。王政の役人にも彼等なりの"正義"があるはずだと。しかし彼らについて分かったことは1つ。彼らが守りたいのは人類ではなく彼等の庭付きの家と地位とだけ。むしろ自分達の権利が脅かされるのであれば、その相手が誰だろうと排除する。やはり父の死も正当性は微塵もなかった。父は人が持つ欲と愚かな息子によって殺されたんです。そしていつの間にか父の仮説は私の中で真実となり、私の人生の使命は父の仮説を証明することとなったのです」