第41章 昔話
エルヴィン「しかし、トロスト区が破綻寸前まで追い詰められたこの状況下では、街に踏み止まりあらゆる手を尽くして行く宛ての者達を支援し復興を目指した。だが何者かの手によってその思いは潰えた。この無念私が必ず!」
凛とした声と真剣な眼差しでリーブスを見つめるエルヴィンにリーブスの妻達は言葉を失った
そしてエルヴィンを乗せた馬車が走り去って行った
エルヴィン「私の父は教員でした。その日は歴史を学びました。人類は巨人から身を守るため、壁の中に逃げ込み100年の平和を実現させた。その際それまでの歴史を記す様なものは何一つ出来なかった。誰もが教わる事です。しかし私はある事を疑問に思い父に質問しました。───か?父は私の質問にまともに答えずそのまま授業を終了しました。しかし家に帰った後で父は私の質問に答えたのです。王政の配布する歴史書には数多くの謎と矛盾が存在すると。その後に続く父の話は子供ながらに突拍子もないと感じましたが、なぜ父がこの話を教室でしなかったのか察せられるほど私は賢くありませんでした。私が街の子供達に父の話をして、その詳細を憲兵に尋ねられた日、父は家に帰ってこず遠く離れた街で事故にあって死にました。私の密告により父は王政に殺されたのです」
エルヴィンは目を開けた