第17章 ◆番外編4「贈り物」
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翌日の昼食を終えた頃、政府より新たな通達が来た。
主はまた皆を広間へと呼び寄せる。
そこへはもちろん、近侍の長谷部も、そして彼の分身である長谷部も。
「…では、読みますね」
彼女は通達書を開いた。
『審神者 各位
調査中であった錬結の異常に関し、対処が決定したため通知する。
本件は本丸内の霊力の乱れに起因するものであった。
ついては、分離した刀剣男士を再度本体に錬結を行うことで解決とする。
通知が届き次第、速やかに実行すること。』
広間にいる者全員が、分離長谷部に目をやった。
分離して一日暮らした彼を、再度の錬結という形で消滅させることは物寂しいことである。
「…長谷部さん」
主も切なくなり、呟いて彼を見た。
しかし、彼はすでに受け入れているようで、彼女の前へと歩み出た。
「主。気に掛けていただきありがとうございました。消えるわけではありません。元に戻るだけですので。…さあ、どうぞ」
彼の言葉に、主も潤んだ目で頷いた。
そのあと、彼は主にだけ、小さな声で語りかける。
「───────」
ほどなくして、分離したもう一人の長谷部は本体へと錬結され、消滅したのだった。