第17章 ◆番外編4「贈り物」
「…長谷部さん…」
その複雑で寂しい心境を、主はすぐに読み取った。
この長谷部も紛れもなく自分を想ってくれている長谷部のはずなのに、まるで蚊帳の外にいるような心地にさせてしまっている。そう思ったのだ。
そこで主は、この髪飾りを贈られたときの気持ちを思い出し、目の前の長谷部に改めて伝えることにした。
「ありがとうございます、長谷部さん。髪飾り、すごく嬉しかったです。とても可愛らしいですし…それに、長谷部さんからいただけたのが、本当に嬉しくて…」
「主…」
「……長谷部さんのことが大好きです」
主が言い聞かせるようにしてそう告げると、長谷部は感激のあまり瞳を潤ませた。
告白のやりとりの記憶がないまま両想いが判明したこの長谷部にとって、彼女に改めて好きと言ってもらえることはこの上なく嬉しいことだったのだ。
「…俺もですっ…好きです、主っ…」
主も、長谷部の初々しい反応が嬉しかった。
寂しい思いをさせてしまったぶん、今はこの長谷部に優しくしてあげたい。
そう思った彼女は、長谷部の頬に手をあてると、顔を近づけた。
「あのっ…主っ…?」
「私…長谷部さんとこうするの、好きです…」
彼女は少し強引に、緊張している長谷部にゆっくりと口づけた。