第17章 ◆番外編4「贈り物」
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ここは本丸の広間。
今日は大勢の刀剣男士がここに集合し、今朝起こった異常事態に皆で頭をひねっている。
主の面前に、いつものように近侍の長谷部は膝をついて座っていた。
いつもと違っているのは、その長谷部が“二人”いるということだ。
長谷部によれば、なんと朝起きたら自分が二人になっていたというのである。
二人の長谷部は困惑した様子でお互いに目をやるが、すきあらば威嚇しあっている。
主は右の長谷部と左の長谷部、交互に見ながら呟いた。
「困りましたね…。 今朝、政府からこのことについて通達がありました。まさか私の本丸でも起こってしまうなんて…」
彼女の言うとおり、この異常すぎる事態の正体はすでに政府より通知されていた。
本丸全体にそれを伝えるため、主はここへ皆を呼んだのである。
「通達では政府は何て言ってるんだ?」
前列に座る鶴丸が口を挟むと、主は懐から通達の紙を開いて出し、それを読み上げた。
『審神者 各位
✕月✕日~○月○日の期間に同一の刀剣男士で行われた錬結について、異常が発見されたため通知する。
昨夜より複数本丸において、上記期間で錬結された刀剣男士が本体から分離する事象が確認された。
現在政府にて原因を調査中であるため、分離が認められた場合は次の指示まで各本丸にて保護すること。
再度の錬結、刀解等を行うことは禁止とする。
なお、分離した刀剣男士は錬結以降の記憶を失っているため注意すること。』