第14章 ◆番外編1「猥本」
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この後、私たちは湯船に浸かり、着替えて部屋へと向かった。
私の部屋の前で長谷部さんに「おやすみなさい」と挨拶をすると、彼はじっと私を見つめながら、手を握ってくれる。
「長谷部さん…?」
「主…本当に、ありがとうございました…。あのようなことをしてくださるなんて…少し、驚きました。その………何か、あったのですか?」
湯船に浸かっているときも同じようなことを聞かれたけれど、再確認される。
なかなかしないことに挑戦したから…心配かけちゃったかな。
「いいえ。いつも私に優しくして下さるので…そのお礼の気持ちです。上手にできたか分かりませんが、長谷部さんに気持ち良くなってもらいたくて…。勇気を出して挑戦してみたんですけど……ダメでしたでしょうか…?」
何か間違っていたかと思い、不安になって長谷部さんを見つめ返す。
すると彼は急に、私を抱き寄せた。
「きゃっ…」
「主っ…! 嬉しいです! 俺のために、そんなにっ…! ありがとうございます! お上手でしたよ! とても気持ち良くて、その…最高でした…!」
素直に感想を述べてくれて、本当に嬉しそうな長谷部さんにこちらも胸がドキドキしてくる。
嬉しい…!
喜んでもらえた…!
まだまだ反省もあるけど、今夜は大成功だ…!
お互いに興奮冷めやらぬまま深く口づけ、この日はおやすみなさいをした。