第9章 ◆情熱合わせ ★★★★☆
「ハァ…ハァ…」
しばらくそのまま、俺たちは息を整えていた。
彼女に挟まったままの俺のモノは、次第に硬さを失った。
やがて力が抜けた主は俺にもたれかかり、胸の中に収まってくれる。
「…主…ありがとうございました…」
昂った熱は一旦落ち着き、腕の中にいる彼女にお礼を言う。
こんな場所での非礼を先に詫びるべきなのに、主は全く咎めることはせず、うっとりと頬を赤らめて頷いてくれる。
「…長谷部さんすごい…。気持ち良いこと、何でも知ってるんですね…」
…俺の主は、最高だ…。
「そんな、光栄です…」
「恥ずかしいです、私…。初めて知ることばかりだから、すごく気持ち良くなって、体が勝手に動いてしまいました」
「いいんです、それで。俺は嬉しいです」
「長谷部さん…」
…俺は馬鹿かもしれない。
俺と主は“いい感じ”なのではないかと、錯覚している。
だって主が、あまりにも可愛らしいから…。
こんな表情を向けて下さるのは、もしかして俺のことを想ってくれているからなのでは、と。
勘違いも甚だしい。
俺は主から自身を離すと、みっともないソレを軽く後始末し、すぐに仕舞った。
主の身体を手拭いで綺麗に拭き取り、はだけさせた着物を帯の下に戻していく。
「申し訳ありません、主…。こんなに乱してしまって」
「いいんです。長谷部さんが落ち着いたみたいで、良かった」
「主のおかげです」
「あ、あの、恥ずかしいのですが、私…今日の、すごく好きでした。長谷部さんと一緒に気持ちよくなれて…。同じような指示が出たら…また、したいです」
うっ………。
「……かしこまりました」
本当に……俺の主は最高だ。
─その後、俺たちは本丸へ戻った。
夜まで何度か指示が出たが、軽い愛撫のみだった。
夜にはまた口づけのみの指示が出て、俺と主は熱く長い口づけを交わした。
いつか彼女と触れあえなくなるのでは、と頭をよぎり、俺は夜伽のたび、なかなか彼女を離すことができなかった。