第2章 罠
そのまま玲人は立ち去って行った。
今朝のエレベーターでよがる奏の写真とネガを拾い、階段を駆け上がる。
屋上には衣服が乱れ、顔の周りやお腹に白濁の液がかかったままの奏の姿があった。
太ももは愛液で濡れ零れ落ちた愛液が水たまりの様にになっている。
頭に血がのぼるのが分かった。
深呼吸して冷静になり、リボンを解き、白濁がかかっている事を知らないであろう彼女を抱きしめる。
抱きしめる角度を少しずつ気付かれないようにしながら白濁を燕尾服で拭く。
太ももをいつも以上に丁寧に拭いた。
「奏……お嬢様……」
ゆっくりと頭を撫でながら服を整えていく。
キスしたい。忘れさせたい。体を洗ってやりたい。
今すぐ殴りにいきたい。会社を潰す。など、いろんな衝動を抑えつつ、涙と顔の白濁を新しいハンカチで拭く。
そのまま抱きかかえ車へと向かう。
途中職員室で早退させる事を担任に伝えるのも忘れない。
車の助手席を倒し、眠った奏を寝かす。
トランクから毛布を取り出し、奏にかけると屋敷へと車を走らせた。
「……クソッ!」
自分が執事として始めて奏に会った時の事を思い出した。
ゲーム好きで自ら制作も手掛ける奏。
天才プログラマーの母と実は有名な大規模SNSの開発責任者である父の間に生まれた天才ゲームクリエイターとも言われている。
どんなお嬢様かと思えば、人見知りが激しい内気な少女だった。
喋り方はお嬢様らしく敬語を使ってはいるが、幼いころからゲームをしているせいか、実は苦手で社交的でも無い。
服や食事も庶民的な物を好む傾向がある。
一言で言えば、そこらへんにいるゲーム好きの少女と大差がない。
失礼だが、思っていたほどお嬢様では無かった。
でも、お嬢様でいようとする努力は惜しまない。
陰で毎日勉学に励み、礼儀作法の練習、読書、ダンスのレッスンなど……親や執事メイドに気付かれないようにしている。
そんな姿にいつしか心を奪われていた。
そうしていつしか、抱きたいと、思い……実行したのだ。
抱かねば、俺を見ないだろうから、と。
そして、俺以外を見ないだろうから……。
奏――
奏の父の専属執事に学校での出来事を伝えると、車を任せ奏を抱き上げる。
そのまま屋敷の中へ入った。