第2章 罠
「逃げんなよ」
「あの……何、か……」
「あんた、執事と付き合ってんの?」
目を見開く。
玲人の右手には今朝のエレベーター内で信也に犯されている奏の写真があった。
勢いにまかせて写真を奪い、空いた右側から走り抜ける。
この場を逃げて信也に連絡し写真を処分。
それだけを考えた。
だが、腕を掴まれフェンスに体を押し付けられる。
痛みでくぐもった声が出た。
「朝、あんたは深夜から会社に居た。18禁ゲームを作るために」
「はな……離して、くださいっ!」
「18禁ゲーム作りながら興奮し、エレベーターで執事に犯された、と」
耳まで真っ赤になるのがわかった。
相手の顔を見るのも恥ずかしくて俯きながら捕まれた腕を振りほどこうと抵抗する。
だがビクともしない。
「抵抗しても無駄なことぐらい、あんたなら分かるだろうに」
「何が……目的です? お金ですか? 株ですか? 仕事ですか?」
「全部外れ」
首筋をゆっくり舐めあげられる。
「ひゃっ!!」
「……意外に可愛い声出すじゃん。いつもどこか冷めた目で学校生活送ってるくせに」
「ほんっとに……! 何が目的ですか」
「抱かせろ」