第27章 初恋の味
白夜
「……佐藤……」
佐藤
「…はい」
白夜
「人間界に戻り育児をしたいか?」
佐藤
「(´⊙ω⊙`)!!」
私の横に立って蛍を眺めていた白夜さんが、
私に突然思いもよらなかった事を提案してきた。
白夜
「自由に過ごせぬ環境よりも、
やはり…お前がお前らしく生きられる環境で
子育てに励んだ方が良いように思ってな。」
佐藤
「………」
まったく考えていなかった事を突然言われると、
私の場合は思考回路が停止してしまう。
白夜
「ただし、今、あちらの世界に戻れたとしても…
お前を覚えている人間が居ない…
つまり孤独の身となってしまうが、安心して欲しい…
俺は必ず佐藤は見捨てないし助けていくつもりだ。」
誰も私を覚えていない…
これは"あちらの世界に私を知っている人が生きていない"というわけではなく…こちらの世界に迷い込んでしまった時点で
"元々いない人"になってしまっていると言う事らしい。
拓巳くんはこれは悲しいと、
妖界で生きていく決意を固め…"永遠の命"の契約を
誰かと結んだらしい。
この契約について、私は詳しくは知らない。