第18章 マーブル味
それからしばらく俺はずっと下を向いていたが…
佐藤
「最後に綺麗な景色を見せて頂きありがとうございました…」
白くて柔らかい手で俺の手を掴んできた。
衣墨
「……あっ…あぁ………」
この感触は…昔俺を愛してくれた人間の女と変わらない。
"パスッ!"
俺はその愛しすぎる手を振り払う。
衣墨
「さぁ…そろそろお前を殺そうか!!
お前が生きていると…白夜が血迷って迎えに来るといけないからな!」
あの日…血統に厳しい俺の親族が鈴に放った言葉と何も違わない…
佐藤
「………」
そしてまたこの女も鈴と同じ顔をして、
どこか…全てを諦めている。
衣墨
「いいねぇ〜、この場所で人間の女を殺せるなんてな!最高さ!
そして俺がお前を殺したのを知ったアイツの面も拝めるときた!
たまらないと思わないか!?」