第18章 マーブル味
【衣墨視点】
運命とは奇怪なものだなと、
妖艶な女が桜の花びらに包まれ嬉しそうに
している姿を見ながら俺はボンヤリ想う。
衣墨
「…………」
そして何百年も前に死んでいった、
愛しい女の姿が重なり"嫉妬"に似た感情までも…
佐藤
「ん…?これは…お墓?……」
佐藤が小さな墓に気付いてしまった。
衣墨
「…………」
俺は墓の前でしゃがみ込む佐藤の真後ろに立つ。
佐藤
「…こんな綺麗な桜の木の下に葬ってもらって……
なんだか羨ましいです……」
この女ときたら生きたかった女の墓前の目の前で
失礼な事をポロッと呟いた。
そして…
手を合わせやがった。
佐藤
「……………」
そしてなんと話しかけたのか分からないが、
随分長い間手を合わせやがった…