第5章 黒の組織の重要人物
半年が経った。最初は戸惑っていた仕事も、慣れたもので、私はいつの間にかジンの使い勝手のいい駒の一部となってしまった。
「はぁ……私これからどうなるんだろ…」
こんなはずではなかった。私はほとほと自分の運命にため息をつく。デジャブだ。
「探せ!!例のガキだ!!」
「データが盗まれた!!見つけ次第殺せ!!」
私は再びはぁっとため息をついた。このしたの情景もデジャブだ。
「あーあ。またFBIに邪魔された。なんでことごとく任務中に出くわすんだろ…」
私はそっと下を覗き込んだ。…………ふむ。そろそろ行動を起こした方がいいだろう。
「よっと!」
私は下へと降りた。そして、頭を撃ち抜かれたであろう兵士の死体を探った。
「………あった!!」
これだけ苦労をかけさせられたんだから、ちょっとくらい手土産が欲しい。私はそれをそっとポケットの中に入れた。
「見つけたぞ!!あのガキだ……あ?」
男の叫びは途中で終わった。何故なら、男はFBIによって戦闘不能になったからだ。
「やべ」
あの楽勝な兵士たちに捕まるならまだしも、FBIに捕えられてはまずいことこの上ない。下手したらジンに処理されてしまう。……まぁ、処理されるほどの組織の情報を私は持ち合わせていないが。
「待てっ!!!」
FBI&敵兵VS私の命懸けの鬼ごっこの始まりだ。一見すれば私の負けは確実だけど、でも大丈夫。ここで救いなのは、FBIと敵兵は殺し合う仲だということだ。