第15章 黒の組織とFBIと・・・私とジンとクソ親父
~誰かside~
急に電話で呼ばれ、俺は指定された部屋をノックした。ガチャ…と扉が開き、そこにいたのはなずなだった。
「あ、ウォッカ来た!!」
なずなはどうぞーと屈託のない笑顔で俺を出迎えた。
「ジン、ウォッカ来たよ!!」
嬉しそうな後ろ姿にふと微笑み…そして、彼女の足首にあるものを見て驚愕した。
「なずな…い、いやキティ!! お前、その鎖…なん…!?」
なずなが歩く度に音を立てる金属…パタパタと歩く姿に似つかわしくないものだ。その鎖はなずなの片足首と部屋の隅にある固定された机に繋がれていた。小さな背中が振り返る。
「何って……足枷だけど」
まるで普通のように言うなずなは、すぐにアニキの元へと走り、その膝の上に飛び込んだ。
「ジン、ウォッカ来たよ!!」
「……あぁ…みてぇだな」
こちらを確認するように顔を上げたアニキが、なずなに渡される水を飲み干した。
「ウォッカを呼び出したくせに、ジンってば自分は普通に寝てるんだよ」
目は覚めた?と笑う彼女。俺は恐る恐る口を開いた。
「ア、アニキ…キティは何かやらかしたんですかい?」
そうでないと説明がつかなかった。これは彼女への罰なのか…いや、今までのアニキならば罰を与える前に殺しているはずだ…。すると、なずなが笑った。
「何もしてないよ!!」
「おい…てめぇ昨日、俺の服縮ませやがっただろうが。忘れたとは言わせねぇぞ」
「えー…でもあれジンが勝手に洗濯機に入れてたんでしょ」
彼らのそんなやり取りさえも頭が痛くなる。せめてその会話する相手がアニキじゃなかったらと…そう思う。俺の憧れていたアニキは、ここ数年で少しずつ変わっていったように感じられた。……いい意味でも、悪い意味でも。俺は彼女の足枷を再度見る。
「あ、学校は大丈夫だよ。今ね長期のお休みだし!!」
だから、こうやって昼間からジンと一緒に居られるんだよ、とジンの手で遊びながら言うなずな。
「そ…そうか…」
俺はそれしか返すことが出来ず、その後アニキから言われた殺しの命令もろくに頭に入ってこなかった。