第13章 主人公に巻き込まれる日々かと思えば、私が巻き込んでいた
「誘拐犯?」
私は大きく頷く歩美たちを見る。そう言えば、スコッチからも気をつけるように言われていたことを思い出す。
「そう!! それを私たちで捕まえようって話をしてたの!!」
「聞き込みで、出現する時間帯や場所、犯人の背丈格好まで大体絞れてきたんですよ!!」
「俺たち少年探偵団の出番だぜ!!!!」
少年探偵団…それにいつ私が入ったのか分からないが、何やらやる気に満ち溢れている彼ら。呆れたようにコナンが口を開く。
「おめぇらなぁ…」
「私パス」
だが、止めるように言う前に、そう灰原が口にした。ランドセルを背負い、教室から出る。歩美がえーっと落胆の声を出す。
「灰原さん行かないの?」
「付き合い悪ぃぞ灰原!!」
「そもそも、少年探偵団なんてそんな子供っぽいところに入った覚えはないわ」
中々の毒舌を吐きながら、教室を去ろうとする灰原。だが、その後ろを少年探偵団が追いかけるので、結局いつものように皆で下校となる。
「少年探偵団って初耳だけど、いつできたの?」
私が聞くと、歩美が笑顔で答えた。
「えっとね…結成したばかりだよ。確か、コナンくんが転校してきた少し前!!」
なるほど、本当に出来たばかりだ。聞けば、この間のバスジャック事件から彼らに少年探偵団としての何かが燃え上がったらしい。目をキラキラさせながら、最終的にはテレビ出演して仮面ヤイバーと共演することが夢なのと話す彼らに、私も笑顔で共演できるといいねと口にした。
「何他人事みたいな言ってんだ? お前も共演するんだぞ」
元太が言うので、私は恥ずかしいから画面の外で写真撮っているねと返す。テレビなんて映ったら、それこそ後が怖いなと思いながら。
普段通りの和気あいあいとした放課後…そう思っていた。だが、ある公園を通り過ぎた時、私たちはある人物に声をかけられることになる。それが、騒動の始まりだった。