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赤井さんちの一人娘

第11章 江戸川コナンとの対立


~誰かside~

「隠れて身を潜めちゃ駄目なの?」

なずなはそう俺に問いかけた。振り返れば、彼女は少し悲しげな顔をしていた。……何故そのような顔をするのだろうか。

「その…実態が掴めない謎の組織……お兄さんは黒の組織って呼んでるけど…黒の組織は人を殺したり、お兄さんを小さくしたり、ただの組織じゃないんでしょ。危険だよ…」

なずなの言葉に、一瞬言葉が詰まる。脳裏に過ぎるのは蘭やおっちゃん…俺の大切な人達の顔だった。もし組織に俺の存在が知られたら、こいつらの命も危ない…。だが、俺には…

「……だからって、このまま見過ごせるかよ」

俺の言葉に目を丸くするなずな。そして、そっか…と笑った。

「分かった。じゃあ、私も黙ってるね」

しーっと口元に手を持ってくるなずなに、俺はゆっくり頷いた。

「…あぁ…。お前のことは俺が絶対守る…だから心配すんな」

だが、再度見る彼女の顔はキラキラと輝き、そしてその瞳は真っ直ぐ俺を見ていた。その顔からは恐怖は見られず、どこか希望に満ちたような顔つきだった。

「私は大丈夫だよ。でも、お兄さんこそ気をつけてよ。なんか事件を引き寄せそうだし」

あははっといつもの彼女の顔に戻ると、走り出して俺を越す。

「お兄さん!! 早く行かないと、遅れちゃうよ!!」

そう言って、俺を待つ様子もなく走り出すなずなに、俺は忙しない奴だとその後を追った。だから、先に行った彼女の言葉は結局俺の耳に届くことは無かった。

「あまり遅いと、私が先に潰しちゃうかもね」

唇に弧を描き、クスクスと笑う彼女のことを俺はまだ何も知らなかった。
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