第3章 悪の組織
「アニキ……それ…なんなんです??」
車の中はかなりタバコの匂いが染み付いていた。私はまだ状況についていけずポカンとしていたところに、運転手の男の人が助け舟を出した。確か…私は、先程までこの人に殺してやるって言われてなかったっけ?なのになんでこんなことに?いや…1日泊めてくれるなら…ありがたいけど…
「死んだガキの使い回しだ。中々使えそうだ」
ニヤリと笑う男。しかし、この人も私も雨で身体中が濡れている。私は助手席に置いてあったタオルを取った。
「あ、おい!!」
「はい。濡れたままだと風邪ひいちゃうから」
そして、それを彼に渡し、私は自分の体を拭いた。多分これ、助手席の男の人の分だと思うけど…まぁ濡れてないし使ってもいいよね。
「っ!?」
いきなり、私は押さえつけられた。柔らかいシートのおかげで全く痛くなかったが、息は少し苦しかった。バタバタと足を動かしたら、ドスの効いた低い声が真上から聞こえた。
「拭け」
そして、上からの圧力がなくなると、私は自由になった。男を見ると、すました顔をしている。私はタオルを取り、その人の体を恐る恐る拭いた。……自分で拭けばいいのに。