第1章 Episode of 跡部①
「ちゃん、お前さんえらい派手な格好で登校してきたんやな」
侑士が私の足元から頭の先まで見る。
「やっぱこれって派手なの?校門のところで生徒副会長に注意されちゃったよ」
頭を掻きながらヘラっと笑う。
「あー…あのべっぴんさんか。俺はその感じ嫌いじゃないけどな。でも、登校初日から散々やな。その怪我もどないしたん?」
「あーこれ?来る途中で車にぶつかりそうになって転んだの。おかげでスマホ割れちゃうしほんっと散々だよ、嫌な感じのやつにも会うしさー…」
トホホ…と肩を落とすと、侑士は私の肩を抱き寄せて、俺がおるから大丈夫や、安心しい?と笑った。
保健室で消毒してガーゼを貼って貰うと、侑士と一緒に自分のクラスへ向かう。
教室のドアを開けると、教卓の前に先生が立っていて、HRが始まっていた。
「忍足ご苦労さん。席につけよ。は、前に立って自己紹介な」
「はい」
侑士が自分の席に向かう途中、口パクで“頑張りな”と手をひらひらさせるので、私もにっこり笑い返した。
教卓の前に立つと、クラス生徒の顔が見える。
みんなの視線が私に集まる。
「えーっと、今日転校してきたです!みんな、よろしくねー!」
手を挙げて挨拶すると、小さな拍手がちらほら…
みんなこんなノリじゃなかった…?やっちゃった?
私のやば…という顔を、教室の隅で侑士だけが笑いを堪えて見ていた。
「じゃあは忍足の隣が空いてるからあそこに座って。あと、昼休みに生徒会室に行くことな」
その先生の言葉にクラスがザワつく。
「あの子、今朝柊さんに声かけられてた子じゃない?」
「うわ、可哀想ー」
「あの身なりじゃね…」
なんて言葉がちらほら聞こえる。
あの副会長、ほんとに生徒会長にチクったんだ…マジかぁ…
可哀想なものを見る目で見送られながら、侑士の横の席につく。
「初日からやってもーたなお嬢さん。生徒会室でお説教か?」
口元に手をやり笑いを堪えながら話す侑士。
「笑いごとじゃないよ!副会長がチクったんだよ。最悪…」
「生徒会長はもっと手強いやつやでー。」
「嘘ー、柊さんよりやばい?」
「もっとやばいな。無事帰ってくることを祈ってるわ」
机に突っ伏して項垂れる。
昼休みか…生徒会長どんな人なんだろ…