第20章 期末テスト、その前日譚
「普通科目は授業範囲内からでまだなんとかなるけど……演習試験が内容不透明で怖いね……。」
「突飛なことはしないと思うがなぁ。」
「そうかな、なんせ初日から相澤先生が飛ばしてるからね。何があるかわからないよ?」
成績2位の飯田君が緑谷君に返す言葉に、私が反論する。んー、内容は気になるんだけどその内容を推測する情報も足りないし、どうしたものか。隣で蕎麦をずぞぞぞと啜っている焦凍にも意見を聞こうと肩を突こうとして、緑谷君のあいたっという声が聞こえる。そちらに目をやると、そこにいたのはB組の物間君だった。
物間君はA組に対して随分と疎ましく思っているのか、口にする言葉は随分と尖っている。こっちも好きで敵に関わりに行っている訳でもないんだし、ちょっとムッときて言い返そうかと身体の向きを変えようとすると、焦凍に腕を掴まれる。
「焦凍っ……」
「ああいうのは無視しとけ。言いたいだけだろ。」
「でも……」
「いいから。食ってろ。」
「むぐっ」
まだ言い募ろうとする私を見て、焦凍が私の定食からコロッケを1つ箸で掴むと、勢いよく私の口に突っ込んだ。口いっぱいのコロッケのせいで一言も喋れなくなった私は、渋々と日替わり定食に向き直る。もぐもぐとコロッケと格闘していると、気づけば物間君の毒舌攻撃も止まっていた。どうやら、拳藤さんが止めてくれたらしい。物間君が迷惑をかけたからか、拳藤さんが先輩から聞いたという演習試験の内容も教えてくれた。どうやら、入試と同じ対ロボットの実戦演習らしい。けど、入試と全く一緒ということはないはず。タイムアタックとか、そういう方式なのかな。
拳藤さんは、私達に演習内容を教えるとそのまま物間君を引きずっていった。