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人魚姫は慟哭に溺れる【ヒロアカ※轟夢】

第17章 激突、ヒーロー殺し!


「来い。来てみろ、贋物ども。俺を殺していいのは、“本物の英雄”(オールマイト)だけだ!!」

 ボロボロの身体で放った凄みのある声はビリビリと空気を震わせてこの場を完全に支配した。ゆらりとボロボロの背中から狂気じみた“英雄”に対する熱意の影が立ち昇ってくるのを幻視して、一歩思わず後ずさる。身体が震え、プロヒーローの一人が尻もちをついた時。カランと冷たい音が凍りついた空気を引き裂いた。正気を取り戻した私達が見たものは、白目を向いて立ったまま気絶しているヒーロー殺しだった。

 その後、プロヒーローが呼んだ救急車と警察が現場に到着。気絶したヒーロー殺しは警察によって移動式牢(メイデン)で拘束されて連れていかれ、怪我をした緑谷君達とネイティヴは救急車で病院に。私は頬の切り傷だけだったから、焦凍達の分まで事情聴取を受けた後エンデヴァーさんに連れられて宿泊していたホテルまで戻ってきた。
移動中、何を言われるかとハラハラしていたのだけど、意外と何も言われずに怖いくらいの静かな空気の中にいた。戦闘よりもプレッシャーと戦った心労疲れの方が酷かった私は、お風呂からでるとふかふかのホテルのベッドへとダイブする。
 資格と許可なしで戦った私達は規則を破った。だから私達と私達を請け負った事務所には本来厳正な処分が下されることになる……が、それは公表した場合の話。人命を守るために戦った私達を守るために、警察は功労者として私達を公表しないことで処罰を受けずにすむ道があることを示してくれた。……お説教の意味も込めて随分と意地悪な言い方だったけれどもね。
名誉だとか、称賛のために救けたわけじゃないからそれはいい。皆が罰せられないのなら。とはいえ、私一人の意見で決められるものでもないから、後は病院にいる三人に委ねることになった。
 エンデヴァーさんや他の保護者となったプロヒーローについては、管理不行き届きということでペナルティはあるらしい。色々事情があったこともあり、随分と軽い物になったとは聞いたけど、詳しくは知らない。

 今日起きたことを頭の中で整理するうちに、眠気で瞼が重くなる。それに抗わず、私はゆっくりと目を閉じた。明日は、皆のお見舞いに行こう……。
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