第12章 轟焦凍 オリジン
「……緑谷君に会いに行かないと。」
軽かったはずの足取りは重く、やっぱりエンデヴァーさんに会うのは心身共に疲れちゃうんだなぁと再認識する。ゆっくりと保健所にたどり着くけれど、開けたドアの先に目的の人物はいない。リカバリーガールに確認したら、手術は無事に終了してとっくに出ていったと教えてもらった。
「観客席かぁ……ちょっと行く気にはならないなぁ。」
緑谷君のことだから、今頃鬼気迫る表情しながら試合を観戦して、分析ノートをガリガリ書き殴っているかもしれない。そんな緑谷君を呼び出すのは気が引けるし、だからといってクラスメイトの前でお礼を言うつもりはない。ひとまず私の感謝の気持ちはあの骸骨のような人が伝えてくれただろうし、体育祭が終わった後で改めて伝えよう。
通路の向こうから、プレゼントマイクの声が聞こえてくる。次の試合が始まるらしい。爆豪君の試合は見ておきたいな。そう思って、私はそっと観客席の方へと歩き出した。