第3章 合否通知
波乱の雄英入試から一週間。そろそろ入試結果が郵送されてくる頃になる。筆記試験の自己採点は合格ラインを超えていたから大丈夫だとは思っている。実技の方は、他の受験生達の力量を見ることなく終わっちゃったから正直わからない。ただ、誰よりも先にスタートダッシュはできたし、狩場も押さえられたからそう簡単には落とされないと思うんだけど。……自分で何ポイント取れたのかがわからない以上、不安を拭い去ることはできない。いっそ、純粋な討伐数だったらこんな思いはしなくてよかったのに。
自室の炬燵に身体をすっぽりと入れて仰向けに寝転ぶ。ああ、こたつがぬくい。眠気を誘う暖かさにIQがゆるゆると低下するのを感じていると、扉がノックもなしに開けられる。
「奏、話が……眠いのか?」
「しょーと。開けるときはノックして欲しいなぁ。」
「わりぃ。」
いつも言ってる気がするけど、全く直す気はないらしい焦凍は本当に悪いと思ってるんだろうか。……その瞬間だけ悪いとは思っても、忘れてるとか?
焦凍が部屋に入ってきたけど、ごろごろするのをやめるつもりもない私は猫の顔がプリントされた触り心地のいいまんまるな猫クッションをひたすらもふもふする。そんな私を知ってか知らずか、私の右隣に焦凍が腰を下ろして、炬燵にひんやりと冷えた足を入れてくる。それだけなら文句も言わないのだけど、悪戯のつもりか冷えた足を私の足に押し付け、絡めようとしてくる。
「しょーと、冷たいです。」
「独り占めはずりぃ。入れろ。」
「入れるから押し付けないで、絡めないで!足冷える……!」
ぐいぐいと絡めようとしてくる足を避けるように身体をよじって逃げる。しばらくころころと転がりながら逃げていたものの、容赦なく腕まで使われて動けなくなったところに更に足まで絡められてしまう。
「ぐぬぅ。」
「もう冷たくないだろ。」
「そうだけど、そこじゃないと思うの私。」
天然な焦凍には何が違うのかいまいちわかっていないらしく、かわいらしく首を傾げている。厳しい訓練を乗り越えた仲間であり、絶対的な味方であり、兄弟みたいなものであるとすでにインプットでもされているのか、ほんと焦凍にこの手の話をするのは難しい。