第2章 入試試験
「ああ、ちょっとお待ちよ。ロボットに突っ込んでいったっていう子はあんただろう?」
目立たないように立ち去る予定はリカバリーガールに呼び止められることでご破算になってしまった。呼び止められたのを無視していく無神経さは持ち合わせてないから、そのまま足を止めて向き直る。グミお食べ、と手渡された小さくてカラフルなグミを受け取る。
「あんた、怪我はないかい?」
「はい。大丈夫です。」
「無傷であの大きなのを倒したのかい?」
「倒したなんて。転ばせただけですよ。」
腕や足の裾をめくって無傷であることを見せれば、リカバリーガールは優しく笑って入り口の方向を指さした。
「うんうん。なら、次は筆記試験があるからバスの方へおいき。全員揃ったら移動だよ。」
それだけ私に伝えると、リカバリーガールは私から離れていく。手を打ち鳴らして注目を集めながら大声で同じことを伝えているのを確認して、私は今度こそ入り口の方へ歩き出した。でも、こんな激しい実技試験の後で筆記試験があるってなかなか鬼畜じゃないかな。脳内にちゃんと勉強したことが残っていることを祈らずにはいられなかった。