第9章 体育祭、開催!
「てめぇ、半分野郎!宣戦布告する相手を、間違えてんじゃねぇよ!」
焦凍に右手で爆破を仕掛けるも、私のようにその手を払われて防がれる。そして、焦凍の右手が爆豪君の手を掴んで氷結させようとする。二人が潰し合っている間に進もうとすれば、爆豪君と焦凍の攻撃が私にも飛んでくる。完全に、三つ巴状態だ。
『おおっと、喜べマスメディアー!ここにきて先頭集団が泥沼化!お前ら好みの展開だろぉ!!――後続もスパートかけてきた!』
互いに腕を掴み、払い合いながら前に出ないように牽制し合う。必然的に私の進むスピードも遅くなり、後続が徐々に私達に迫ってくる。……もう、こうなってしまったら一旦この混戦から離脱して活性で地雷原を飛びぬけてしまった方がいいかもしれない。私に伸ばされた爆豪君の腕を叩き落しながら、スピードを緩めようとしたその時。超至近距離で打ち上げ花火を上げたような爆発音が後ろから轟く。それは断続的に聞こえてきていた地雷の爆発する音とは比較できない程大きくて、私達三人がつい動きを止めて振り返ってしまう程の代物だった。
音に遅れて私達を襲うのはとんでもない爆風と閃光。腕で目を庇いながら見たものは、もくもくと立ち昇るピンク色の煙。そして、その煙から勢いよく飛び出してきたのは鉄の板に乗って吹っ飛んでくる緑谷君の姿。
「爆風を利用して飛んできた!?」
超スピードでこっちに向かって飛んでくる緑谷君は、あっという間に私達を飛び越えて地雷原の端に向かって飛んでいく。もう、互いに妨害している場合じゃない。
爆豪君はまた両腕を爆発させながら飛んで緑谷君を追い、焦凍は氷結で道を作りながら走り出す。私はと言うと――活性は使わず、自分の動体視力を頼ってで走り出す。爆豪君や焦凍に比べると遅い。遅いけど、多分緑谷君の着地点は地雷の上になる。そうなったら、追いかけた爆豪君と焦凍は緑谷君の爆発に巻き込まれて足を止めざるを得ないはず。私が個性を使うのは、その時!