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人魚姫は慟哭に溺れる【ヒロアカ※轟夢】

第9章 体育祭、開催!


『至情ー!まるで人間大砲のように吹っ飛んだ!無茶苦茶するなぁ、おい!』
『無茶苦茶ではあるが、上から行くのはロープを渡っていくよりも安全で早い。が、大きく弧を描いて飛んだ分ロスもでかい。ここからが勝負だ。』
『そう言ってる間に轟がロープを凍らせ、その上を滑ってザ・フォールを攻略していく!めちゃくちゃ器用なことすんな!あと速ぇ!至情との間に開いていた差ををどんどん縮めていくー!』

 中間地点で失速した身体は重力で徐々にスピードを上げ、弧を描きながら地面に近づいていく。地面の遠い今のうちに背後を確認すると、中央手前の足場に着いた焦凍の姿が見えた。分かってたけど、随分と速い……!余裕を持って作ったはずの差は思った以上に縮められている。このままじゃ、私が落下のスピードを利用して走ったとしても数m分の距離しか稼げない。それに――

「半分野郎に金魚の糞!いい気になってんじゃねぇぞ、ごらぁ!!」

 両手で爆破を使いながらロケットのように飛んでくる爆豪君が崖の向こうから近づいてきている。ずっと飛び続けていられる爆豪君なら私達に追いつくのも時間の問題。これは三つ巴の混戦になるかも……!
 穴を飛び越え、靴底が地面を擦る。スピードが無駄にならないように一瞬で体勢を整え、また走る。次の障害に当たるまで、また結構な距離を走らないといけない。第三関門までこの差をキープできるか!?

『実に色々な方がチャンスを掴もうと励んでますねー、イレイザーヘッドさん。』
『何足止めてんだ、あの馬鹿ども……!』
『さぁ、先頭が大ジャンプで一抜け!その後を追って轟もザ・フォールを突破したー!開いていた差は、至情のロスで随分と縮まってるぞー!』

 まっすぐに伸びた道を必死に走る。アナウンスを聞く限り、私と焦凍の間にある差はめちゃくちゃ少ない。後ろを振り向きたい気持ちはあるけれど、そんなタイムロスもしていられない!どの程度まで追い詰められているのかわからないせいで、上手くペース配分に気を遣うこともできない。焦っちゃいけないのにっ……!
急く気持ちと戦いながら、曲り道へ差し掛かる。道の中間地点……!あと少し走れば、第三関門が見える!

「追いついたぞ、奏!」

 斜め後ろから聞こえた低い声は、焦凍っ……!じわじわと距離が詰められ、やがて隣に並ばれる。第三関門まで、持たなかった……!
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