第1章 東の海
「すぐ向かうから先行ってて」
そうナミに言われノジコと一緒に港へと向かう道を歩く。
草木を涼しげに夏風が通り、頬を撫でた。
「ノジコ」
「ん?」
名前を呼べば、柔らかく微笑んで私を見る。
こうして2人で歩くのも8年ぶりなのに、長い年月を感じさせないほど、隣が心地よい。
それは、血が繋がってなくても姉妹だからなんだと思う。
「ナミは、大切な仲間を見つけたんだね」
坂の上から港が見え、麦わら海賊団の周りにはたくさんの村の人達が集まっていた。
「そうだね。ナミは・・・財宝とかじゃない本物の宝物を見つけたんだよ」
「・・・・・うん」
羨ましい気持ちと寂しい気持ち。
ルフィ達のことは大好きなのに、恩人なのに、ナミを取られちゃうって気持ちで少しモヤッとする。
「フフッ。あんたもルフィ達と行けばいいじゃない?」
「・・・ううん、私はここに残るの」
「・・・・・・アンタはまだ、囚われてるのね」
「え?」
ノジコの声はナギサには届かず聞き返せば、「何でもないさ」と小さく笑った。