第1章 東の海
「それはナギサちゃんのだろ!!!てめぇはさっきっから食い尽くしてんじゃねぇか!!!」
「食わねぇんなら貰ってもいいじゃねぇかよ~」
ぶーーっと頬をハムスターの様に膨らませて拗ねている。
どうやらこの風景は日常らしい。
蹴られた事に対して怒る様子もないルフィと、悪気のないサンジ。
しかも、元凶は私の様だ。
「い、いいんだよサンジ。私なんかお腹いっぱいだからルフィにあげようと思ったのよ」
このまま間に入らなければもっとサンジは怒り出しそうなので、慌てて止めに入りそう言えばサンジは大人しくなる。
「そうか?なら、食後のデザートもってくるよ。ノジコちゃんにみかん分けて貰ったから、デザートはみかんシャーベットだよ 」
「わぁ!すごく美味しそう!!楽しみに待ってるね!」
サンジはニッコリと爽やかに微笑んで、スタスタ元にいた場所へ戻って行った。
私は蹴り飛ばされたルフィ元へ駆け寄り、
「ルフィ大丈夫?」
声をかければ平然としていたルフィは立ち上がり、服の汚れを叩いてから
「おう!それよりくれ!」
自分の事よりも料理の事しか頭にないようだ。
「あ、はいどーぞ」
「はい・・・。」と渡せば、皿の中にあった料理はほんの一瞬でルフィの口の中へと消えていった。
まるで大食い選手権を見ているよう。
(この細さのどこへ、その料理たちはいくのかな?)
なんとも不思議な体の構造に私は小首を傾げた。