第2章 一番に貴方へ▽浮竹 十四郎
思わずその言葉に苦笑いを浮かべながら、走ってきて少し乱れた彼女の黒い髪を梳くように撫でてやる
「何だか違う気もするが、頑張ってこいよ。だけど、無理はするな」
「はい、大丈夫です!」
「本当か?千穂は時々、無理するからな」
「大丈夫ですよ。信じてください」
そうだな、と呟いてから髪を梳いていた手を背中に回して引き寄せ彼女の華奢な身体を包み込む
「浮竹隊長も無理しないで下さいね」
胸元に顔を埋めた彼女の腕が背中に回れば、自然と笑みが溢れてしまう。
この小さな彼女がちゃんと戻ってきてほしい
ちゃんと此処に、俺の元に…戻ってきてほしい
すると、胸元から顔を上げた彼女を見ると不満そうな様子で唇を尖らせていて思わず首を傾げる
「私はちゃんと浮竹隊長の元に帰ってきます」
「バレてたか」
「バレバレです」