第1章 隠した嫉妬▽朽木 白哉
無言。さっきからずっと無言。
彼は元々、話す方じゃないけど…何かこう…
雰囲気が違うと言うか…うーん
だけど、こんな時でも掴まれた手を見ると嬉しくなる私はきっと重症なのだろう
きっと声を掛けても返っては来ないと思う、思うのにやっぱり声が聞きたくなる。
「白哉さん?」
「………」
ほらね。
「びゃーくやさん」
「………」
「白哉様ー…いでっ」
無言を貫かれると何だか面白くなって色んな呼び方をしていると、急に止まった白哉さんの背中に思い切り本日二度目の顔面を強打した。
「白哉さん?」
掴まれていない方の手で鼻を擦りながら彼を見上げて問い掛ける
「見ろ」
此方を見ずに短く告げられた言葉を聞けば彼の背中から顔を覗かせると、そこには…
「わぁ…綺麗…!」
一面に広がる色とりどりの花
そのまま感動していると私の手を引いて歩みを進める彼につられて歩むと、今度は花に囲まれきょろきょろとしてしまう
「千穂、ここに」
「えっ」
ここ?ここって…そこ!?
いや、流石にそれは…心臓が…。
「おいで」
おい、で…!?
え…何これ夢なの?
白哉さんからのおいでは…破壊力が…。
「お、邪魔し…ます」
既に座っていた彼からのおいでにやられた私は、彼の膝の間に腰を下ろした。
それと同時に彼の腕が私の腹部に回ってきて…心臓が痛いくらい早くなる。