第7章 比べたら負ける▽阿散井 恋次
寝転がっていた私の上半身を浮かせて、そのまま肩に担がれてしまう
「あ、ゆみちー!ありがとー!」
担がれながら、ゆみちーに手を振る
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「おいこら!荷物みたいに担ぐな!」
今更ながら、そう声を発する
「うるせぇよ。ちょっと黙ってろ」
「何、その言い方!このーっ」
むかついた私は恋次の背中を、ぼかぼか叩いた
「いってぇな!暴れんなよっ」
「落としたら、鎌鼬で切ってやる!」
「物騒な事、言ってんじゃねぇ!」
あーぁ、不思議だな。
あんなに萎んでたのにゆみちーの言葉と、恋次のちょっと雑な扱いのお陰かいつも通りの私だ
―――――
「悪かったな、この前」
「ん?あぁ…良いよ、別に」
「ルキアと比べたら…ってやつ、あれは本音か?」
月が見える丘で二人座りながら彼の問いに自分があの日、言った事を思い出して苦笑いを浮かべる
「本音」
「馬鹿野郎。あいつとお前を比べたら…勝つのは千穂に決まってんだろ。つーか、まず比べんのが間違ってんだよ」
「仕方なーいーの!女ってのは…いや、私ってのは物事を面倒臭くして考えちゃうの。分かってても…「ばーか」
「……っ」
話していた唇を塞ぐように重なった彼の唇の中に言葉を飲み込まれる