第7章 比べたら負ける▽阿散井 恋次
「面倒臭く考えんな。んで、抱え込むな。何の為にその口があるんだよ、伝えるためだろ。そんで俺は声が届くとこにいんだよ、だから伝えろちゃんと」
「……恋次」
彼らしい真っ直ぐな言葉。
何度もこれには助けられた。
「やっぱり私は恋次が好きだ。……ありがと、恋次」
恋次の肩に凭れ掛かると頭を優しく、とんとんっと叩かれる
「俺だってお前が好きだよ。だから、苦しい思いも悲しい思いもさせたくねぇ。弓親さん頼る前に俺の所にこい」
「ゆみちー?」
「あぁ、流魂街にいる時から仲が良いから頼んのは分かる。正直ずっと嫌だった、今は頼る相手がかわっ「ばーか」
さっきの恋次の真似をして、唇を重ねて残りの言葉を飲み込む
「恋次だって言ってないじゃん。何の為にその口があるの…私にも伝えてよ」
「ばっかおめぇ…!ヤキモチ妬いたなんて恥ずかしくて言えるか!」
「ははーん、ゆみちーにヤキモチ妬いてたんだ?」
しまった…というような顔をする恋次をみれば笑えてしまう
「私も、私もね…ヤキモチ妬いてた」
「な…っ」
片眉をぴくぴくさせながら驚く恋次にまた笑いが込み上げてくる
「私たち…似た者同士、だね」
「…そうだな」
これからはお互いちゃんと伝え合おうね…近くにいるんだから―…