第7章 比べたら負ける▽阿散井 恋次
ふわふわしていた気分は昼間みた二人に影響されて少しだけ萎んでいた
あれだけで何萎んでんだってんだい!と、自分に渇を入れてから歩き出して赤い彼との待ち合わせをしている場所まで来る
「まだ来てないみたい」
最初は立って待っていたが、疲れてしまい近くの座れそうな所に腰を下ろす
つまり、疲れてしまうくらいには待っている
「ルキアちゃん…かな」
渇を入れたのにそんなものは意味がなかった様で唇から勝手に言葉が溢れていて、それと同時に気持ちが重くなる
仕方ない、そんな風に笑えないくらいには待った
「もう帰ろ」
来た時はオレンジで明るかった町並みは暗闇に消えていて、その中に私の呟きは消えた
「…っ…千穂…!はぁ…はぁっ…遅れて、わりぃ…っ!」
後ろから聞こえてきた息を切らしている彼の声に、振り返る事なく立ち止まる