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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第5章 ボクはキミを




一方、陸の部屋――。



「て、天にぃ!?……っゆ、夢!?」

「夢じゃないよ」

「ほ、ほんもの…?」

「そうだよ。零と陸に会いに来たよ」

「……天にぃ……」

「えらいね。ちゃんと部屋きれいにしてる。具合は?先生の所に通ってるの?」

「う、うん!」

「夜は眠れてる?だめだよ、しっかり休んで冷やさないようにしないと」



久しぶりに、兄弟水入らずで話す時間――。


「あ、なんか飲む?ご飯は?」

「大丈夫」

「そっか!えっと…あはは。会ったらいろいろ話そうと思ってたのに、全部吹き飛んじゃったな」

「はは……。じゃあ、ボクから話すよ。座って」


天に促され、陸は腰をおろす。天も向かい合うように座ってから、ゆっくりと口を開いた。


「陸、好きな子いる?」

「えっ……!?い、いないよ……気になる子はいるけど……」

「もし、その子と、なかなか会えなかったら寂しい?」

「……すごく寂しいと思う……」

「久しぶりにその子と会う約束をしたのに、その子が来られなくなってしまったら?」

「寂しいと思う……それに、心配するかな……」


陸は言いながから、淡々と話す天の顔を見上げた。



「……もしかしてオレ、今恋愛相談されてる?天にぃは……零ねぇのこと、変わらず…?」

「……そうだね。陸の知ってる通りだよ。でも、零のこととは別」

「……どういうこと?」

「零のことが好き。それは紛れもない事実だし、昔も、今も、これからも変わらない。でもね、TRIGGERの九条天の恋人は零じゃない。ファンだよ」

「………」

「ファンを悲しませることはしたくない。ファンと交わした約束は決して破らない。アイドルなら当然のことだよ」

「…約束?」

「コンサートチケットだ。その日、必ずそこに行って、ファンのために笑顔で全力を尽くす。キミは約束を守れない。これまでも、これからも」


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