第2章 shaking your heart
わいわいがやがやと事務所で騒いでいれば、がちゃり、と扉の開く音が部屋に響く。瞬間、一同はぴしっと息を揃えたように背筋を伸ばした。
「みなさーん、お疲れ様です……って!どうしたんですか!?背筋なんて伸ばしちゃって!」
「なんだ、マネージャーかよ!!」
「おい環、なんだ、は失礼だろうが!」
大和にド突かれ平謝りをする環に、彼らのマネージャーである小鳥遊紡はにこやかに微笑んで見せた。
「いえいえ、大丈夫ですよ。皆さん、やっぱり緊張されてるようですね」
「そりゃ緊張するよー!!だって、あの零ちゃんだよ!?」
「OH!!早く会いたいでーす!!」
「おいナギ!!お前、くれぐれも失礼のないようになっ!?」
三月の言葉にわけがわからないといった様子で肩を竦めるナギに、紡は苦笑してからすう、と小さく深呼吸をしてみせる。それに気づいた大和が、口を開いた。
「なんだ、マネージャーも緊張してんのか?」
「えっ……!は、はい……それはそれは、もう……」
「同じ事務所なのに、マネージャーもまだ会ったことねぇのかよ?」
「そうなんです……零さんはスケジュールが多忙なので…。お見かけした事は何度かあるのですが、ちゃんとご挨拶するのは今日が初めてなんです……緊張、します……」
「ははは、可愛いなぁ、マネージャーは!」
ぽんぽんと肩を叩いてやる大和だが、紡の緊張はそう簡単には解れてくれないようだ。
「すみません、大和さん。ありがとうございます……IDORiSH7のマネージャーとして、しっかりしなくては!!……みなさん!これからは零さんと顔を合わせることも多くなると思います。彼女は今や社会現象ともなっている人気アイドルです。学ばせてもらうこともたくさんあると思いますので、くれぐれも失礼のないように、敬意を払いながら仲良くしていきましょう!」
紡の言葉に、七人が緊張を含んだ返事を返せば。
コンコン、と扉をノックする音が部屋に響いた。