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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第4章 新世界への前奏曲




「……っ、すいません。もう一回お願いします……!」


苦しそうな陸に、零が駆け寄る。


『陸、大丈夫?体調よくないの?』

「ごめん、零ね……さん……迷惑かけて……」


陸と零の様子を見ながら、メンバー達は心配そうに眉根を寄せる。


「やっぱり調子が悪いみたいですね」

「収録も押してる…陸くん大丈夫かな……」

「これで5テイク目だよ。Re:valeも零ちゃんも待ってるんだから……」


ディレクターの呆れたような声に、陸が謝れば。


「そんなプレッシャーかけたら、余計に歌えなくなるだろ」と千。

「そうそう。オレたちは大丈夫だからさ」と百。

『一回休憩挟もう。ね?』と零。


「でも、そんな……大先輩の番組で迷惑は……」


陸の言葉に、百は優しく笑いながら言った。


「後輩を助けてこそ、先輩面ができるってもんでしょう。すいませーん、一回休憩くださーい!」

『太田さん、お願いしますっ!』


百の掛け声と、零の縋るような声に、ディレクターはやれやれと肩を竦めた。

 
「もー、百ちゃんも零ちゃんも、甘いんだから。二人に頼まれちゃ、断れるものも断れないよ!」

『あはは、ごめんなさい』

「ごめんごめん!今度、借りは返すから!」


百と零のコンビネーションで、先ほどまでピリピリしていたディレクターの顔つきが一気に緩む。

心底申し訳なさそうに謝る陸の背中を、千がぽんと優しく叩いた。


「謝らなくていい。あったかいものでも飲んできな。零が君のために、ホットココアを用意してたよ」

「!あ、ありがとうございます……っ。なんてお礼を言ったらいいか……」

「僕らのことは気にするな。そのうち、君たちに後輩ができたら、助けてやってくれ」

「そうそう。いつも通り、いい声で歌って。期待してるよ!」

『ちょっと百、プレッシャーかけないで!』

「あわわ、ごめん!そんなつもりじゃないんだ。リラックスして。変顔しようか?」

「ははっ、大丈夫です……っありがとうございます……っ!」


控室に戻る陸を見送ってから、百は三月に声をかける。


「三月、三月!ちょっとおいで!」

「オレですか!?はい!」

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