第4章 新世界への前奏曲
「こら、モモ。いっぺんに話し掛けたら、びっくりさせるだろ」
「だって、話したいことたくさんあんだもんー」
「悪いな、驚かせて。改めて、Re:valeの千だ。君達のことは零からよく聞いてるよ。今日はよろしく頼む。いびったりしないから、固くならずに、のんびりやってくれ」
「そうそう、ユキの家にいるみたいに」
「僕んちかい」
「こーんなでっかいソファあんの。なのに、クッションこんな。手のひらサイズ。ね、零」
『そうそう、耳だけ乗せてんの』
「そんなわけあるか」
「案外落ち着くってゆーね」
『緑がたくさんあるしね』
「くっく……。しょうもないな、零とモモは」
楽しそうに話すRe:valeと零の三人に、IDORiSH7のメンバーと紡は呆然としていた。
「……なんか……すごく、いい人たちそうだな……」
「さすが、日本のトップスターでーす!」
「百と千か。じゃあ、零りんと合わせてももりんとゆきりんだな」
「環くん……っ!」
「あはは!いーよいーよ。ももりんだと、このジュースと一緒だ」
百が笑いながら、ペットボトルを手に取った。
ももとりんごのスパークリング”ももりん”
「美味しいから好きなの。いつもこれ飲んでるんだ。みんなにも余ったやつあげちゃう」
「あ……ありがとうございます!今日はよろしくお願いします!零ね……じゃなかった、零さんも、よろしくお願いします!」
「はい、よろしく」
『うん、よろしくね、陸。みんな』
こうして無事に挨拶を終え、番組ディレクターの掛け声でRe:valeがスタジオ入りする。
「本番お願いしまーす!」
「はいはーい」
なごやかで気楽な雰囲気で始まった、Re:valeの歌のコーナーの撮影。だけど、音楽が流れ始めて、歌が始まった瞬間、IDORiSH7の誰もが目を奪われて、思い出していた。
Re:valeは、ブラック・オア・ホワイトの総合優勝アーティストなのだと――。
圧倒的なトップスターの貫録とオーラを放つ、日本を代表するアイドル。
そんな彼らの実力を改めて知ったIDORiSH7のみんなは、二人に魅了されながら気持ちを引き締めていった。