第4章 新世界への前奏曲
零の反応に、千はまあそうなるよね、なんて呑気なことを言っている。
千葉志津雄といえば、芸能界の大御所中の大御所だ。けれど、大和は全くそんな素振りを見せていないし、おそらくIDORiSH7のメンバー達も誰一人として知らないだろう。
『大和くんの苗字って二階堂だよね?じゃあ、』
「うん。彼は千葉志津雄さんの愛人の息子さんだ」
なんということだろうか。愛妻家で有名な千葉さんにまさか愛人がいて、その人との間に生まれた子があのIDORiSH7の二階堂大和だったなんて。千の話によると、その二階堂家に集まる人々のことを”千葉サロン”と呼んでいるらしい。
零は驚きながらも、大和のことが心配になった。年長者ということもあり、彼は陸たちにとって頼れる存在。だからこそ、自分の事情に後ろめたさを感じ一人で悩んでいるのではないだろうか。
眉根を寄せて考えていれば、千が続ける。
「彼がまだ学生時代の時にあったことがあるんだ。近々話をしたいと思ってたし、零、事務所に声かけておいてよ」
『あ、うん……わかった』