第3章 交錯する想い
『そんなわけないでしょ!千ちゃんと一緒によく遊びにくるから、大抵の場所がわかるだけ』
零の答えに、どこかほっとしている自分に苛立った。嫉妬心丸出しの自分に、天がはあ、と小さくため息をつけば。
百の大きな声が、二人の耳に響いた。
「そーれーで!!説明してもらおうか!!ちゃ・ん・と!!」
顔をあげれば、そこには髪を濡らしたまま肩からタオルをかけ、ハーフパンツを履いた上半身裸の百が仁王立ちしていた。
「…百さん、服着てください」
「え?なんで?」
「なんでって……零もいるんですよ」
『大丈夫だよ、百の上半身なんて見慣れてるから』
「……は?」
天がこれでもか、というくらいに目を見開いて聞き返す。が、すぐに百に遮られた。
「説明して!!わかんないことだらけで頭がぐちゃぐちゃだってば!」
百の真剣な訴えに、天は一息ついてから、山南梢との出来事を一から話した。
「……なるほど……」
『そうだったんだ……私、すっかり騙されてた……』
「謝らなきゃいけないのは、ボクの方。ボクのせいで、二人に迷惑かけた。本当にごめんなさい」
「なんで天が謝るんだよっ!?天も零も悪くないでしょーが!」
『危機感なかった私の責任だよ……二人とも本当にごめんなさい』
「「それは確かにちょっと悪い」」
百と天の声が重なる。
零が露骨にしゅん、と俯けば、百が零の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「ともかく、無事でよかったよ。もうこれからは、迂闊に人を信用しないこと。わかった?」
『はい……』
「よし!じゃ、これでもうおしまい!無事に帰ってきたお祝いってことで、ももりんで乾杯しよう!」
そういって、百は嬉しそうにももりんの注がれたコップを掲げる。天は眉を顰めながらも、渋々コップを合わせた。