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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第3章 交錯する想い




相変わらず散らかっている部屋の中心に座らされ、百は返り血を流すためにさっさとお風呂場へと行ってしまった。

部屋には、天と零の二人きり。
どことなく気まずい沈黙が流れる。その沈黙を先に破ったのは、零だった。


『……天……その……、ありがとね……本当に』

「……知らない」

『……お、怒ってる?』

「怒ってないわけないでしょう?零に何かあったらって、そんなこと考えるだけで気がおかしくなりそうなのに」

『天……心配してくれたんだ……ふふ、ありがとう』


そういって、零ははにかみながら笑った。


「………、」



―――何、それ。

なんで、そんな嬉しそうな顔してるの。
あんなに怖い目に遭ったくせに。
意味がわからない、本当……。



『久しぶりだね、会話するの』

「……そうだね」

『天、いつも目合わせてくれないから』

「……それは、」


天が言いかければ、お風呂場の方から声が聞こえてくる。


「零ー!天にももりん出してあげてー!」


百の声に、零はわかった、と返事をして腰をあげる。睡眠薬は、もうほとんど抜けたようだ。零はキッチンまで行くと、慣れた手つきで棚からコップを出してから冷蔵庫を開けた。


『天、何がいい?っていっても、この家ももりんと水しかないけど』


そういって眉を下げて笑う零に、天の胸はちくり、と痛む。



―――なんで、そんな慣れてるの?

そんなにしょっちゅう、この家に来てるわけ?



「……いらない」

『そう?じゃあ、ももりんで』

「だからいらないってば」

『はいはい』


天の返事をあしらいながら、零は三人分のコップにももりんを注ぎ始める。
そんな零を目で追いながら、天は口を開いた。


「……随分慣れてるんだね。まさかとは思うけど一緒に住んでるの?」


天の問いに、零はきょとん、としてから、あははと笑い始めた。
 

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